2023

作品「スクラップの上に山」は、スチールフレームとスクラップ鉄板を通じて、木津川市の進化と発展を象徴し、地域の連帯と努力を称賛しています。山のような形状は、私たちの成長と未来への希望を表現し、同時に左右の高低差と均等に配置されたスチールフレームは、現実と夢、過去と未来との対話を示しています。環境への調和と観客との対話を通じて、この彫刻は、私たちが変化の中で強く、美しく、進化し続けることの大切さを思い出す契機をつくれればと願います。この鉄の彫刻は、木津川市のアイデンティティと未来への献身を讃え、人々に新たな展望をもたらすことを願って制作しました。

2022
Title: 道程 Road
Size: H1.8mxW0.9mxL50m
Material: Steel
六甲ミーツアート2022 兵庫

ゆっくりと歩みを進めると、木立から野鳥のさえずりが聞こえる。六甲の眼下に広が る眺望にあまたの人が見惚れたことだろう。だが、あの街の中にある虚無こそが現実なのだ。
鉄の回廊を一つずつくぐり抜けていく。時折ほおをなでる風がなんとも心地よい。ふと立ち止まって来た道を振り返るのもいい。
遠い道程で吹きつける風を読むのはたやすいことではない。ただただ前に向かって踏 み込んでいくしかない。たどり着いた社で静かに祈りをささげるまで。

2021
  • 恭仁京の回廊をイメージさせる白いフレーム
  • 恭仁京跡地に並ぶ300のフレーム
Title: 「白の回廊」
Size: W22m × H70m
Material: Steel
木津川アート 京都 2021

奈良時代、聖武天皇が造営した恭仁京。740年に平城京から遷都し、中心部の恭仁宮には天皇が政務や儀式を行う「大極殿院」など国の重要施設が並んだという。4年足らずで廃都となったが、国分寺・国分尼寺建立の詔や墾田永年私財法の発布など歴史に影響を及ぼす施策が誕生した。
聖武帝の治世は悲運の連続だった。地震や飢饉、天然痘の流行、内乱―。この間、我が子を病で失い、皇后の兄で権勢をふるった藤原4兄弟も天然痘で相次ぎ死去。救いを求めるかのように遷都を繰り返し、東大寺の盧舎那仏坐像造立を発願した。続日本紀にはそうした苦悩とともに、疫病や天災に苦しむ民衆を慈しんだ記述がある。
天平の時代からおよそ1300年を経た現在、突如として未知の病が世界に蔓延した。人々はいまだ不安な日々を過ごしている。
かつて恭仁宮には大極殿院を囲む大規模な回廊があり、天皇や宮人たちが往来したとされる。混沌とする時代にどのような思慮を巡らせ、歩みを進めたのか。
当時の回廊に着想を得た作品を通じて、為政者に思いをはせてほしい。

2016
Title:「花群」
Material: Stainless, Steel
ヨーロッパ展示会 2016-2019
  1. 2016-Exhibition “花群” JA warehouse/ Kyoto, Japan
  2. 2017-“Ambiente 2017” Frankfurt, Germany
  3. 2018-“Maison & 2018” Paris, France
  4. 2018-Exhibition “The VASE”This is not a ticket shop/ Frankfurt, Germany
  5. 2018-“HOMI 2018” Milano, Italy
  6. 2019-“Maison & 2019” Paris, France “HOMI 2019” Milano, Italy
花群のロゴ
2014
  • 看板にプロジェクションマッピング投影
  • 横側
Title: 「Non-title」
Size: W14.5m × H3.6m × D1.8m
Material: Wood
木津川アート 京都 2014

1990年頃より木津町は本格的に大きくなり続け、人口が増え便利で快適な町となる。そしてもっと利便性を追求し、もっと人口が増え何かと便利になった。同木津川市に住んでいる私の家の前で数百もの木々が伐採され、新しい道路ができ、駅まで車で5分は早くなったと思う。
展示中、プロジェクションマッピングにて3分の映像を流す。ラストシーンで巨大ショッピングモールのマークを投影した。近鉄の線路を挟み、ショッピングモールの看板と投影された看板が向き合った。百年の邂逅…百年もの間、私たちは風土とどう向き合ってきたのか。今後も進む都市化の中で次の百年が心配だ。これから私たちは一体どこへ進んでいくのだろうか。

イオン風看板
2013
  • ステッカー
  • 内容を記したラベル
Title: 「Dear, John Lennon」
Size: W3.5m × D3.5m × H1.5m
Material: Steel
中之条ビエンナーレ 2013

“ 拝啓ジョンレノン ”
あなたがこの世から去りずいぶんたちますが、まだまだ世界は核にあふれ、平和ではありません。この時代の日本でもまだ、使用済み核燃料を再処理した廃棄物の一つのプルトニウムは、貯蔵用プールにのみ保管ができるだけなので、最終処分はできないらしいです。2050年頃目標の夢のサイクル、無限エネルギーが高速増殖炉で始まるまでは、憲法に従って核爆弾を作るなどして、適切に処理をしなければならなかったので、核爆弾をつくりました。壊されると危ないので念のため警告表示はしておきました。万が一放射能が漏れても、ただちに健康には影響がない、とのことですが、もし大変な事が起きても意思表示カードがあるので心配は無用です。あなたの好きな日本は安心です。しかし核の問題を次の世代に受け継がせなければならない。という大きな問題が浮上してきました。それは歴史です。歴史は変えられない…そして、私は急に人類が現在の核を作りあげるまでのドラマに迷い込んでしまい、今に至ります。ここはそちらのように平和ではありませんでした。十代中頃でファンになってから、平和をいろいろ考えるようになりました。もちろんイマジンは十八番です。早く元の時代に帰りたいですが、そう簡単には抜け出せません。もうしばらくはここで頑張らないとだめそうです。これからも見守ってください。

2041年8月15日 ラブ&ピース!

核廃棄物貯蔵タンク
2012
  • グリーンレンジャー
  • イエローレンジャー
  • レッドレンジャー
  • ピンクレンジャー
  • ブルーレンジャー
Title: 「Non-title」
Material: Industrial machinery
木津川アート 京都 2012

廃校となった当尾(とうの)小学校とその付近にて木津川アート2012が開催され、教育団体などによって腐敗していく教育方針や問題と戦うヒーロー、教育戦隊ペンシルレンジャーを発表。5台の改造された重機を5人揃ってゴレンジャーと見立て、武器として巨大な鉛筆を装備。全レンジャーエンジン動力にて運転できる。同時に期間中、ペンシルレンジャー隊員の募集活動、ペンシルレンジャーの実演会を開催。
原色の力強さで「教育戦隊ペンシルレンジャー」が校庭を機動する。軽いノリとは対照的に、現代の教育問題に一石を投じるメッセージが随所に掲げられてきた。ペンは剣よりも強しと言うが、作家は真剣に鉛筆を振りかざした。
鉛筆の誕生から約450年。文書を残す道具は鉛筆からデジタルメディアに移りつつある。かつて学び舎で何度も芯を削り、端を噛みながら答案用紙と睨み合った記憶が懐かしい。あの温もりはどこへ消えたのか。能率を追う現代社会で鉛筆の持つ価値を考えてみた。

5体の戦隊風重機
2011
  • 接合部分
  • 正面
Title: 「Non-title」
Size: 2m × 7m
Material: Steel, Wood
木津川アート 京都 2011

地域社会が抱える問題の一つに、新住民と旧住民の間に生じる心の軋轢がある。木津、加茂、山城の三町合併で4年前に誕生した木津川市。悠久の歴史・文化と自然に育まれ、新旧の住民が混在するベッドタウンとして発展を遂げてきた。現在も一部地域で宅地開発が進み人口は増え続けている。一方、旧住民の多い山手は過疎化が深刻で、活性化の展望は乏しい。市の発展の影に、失われゆく自然と住民の絆が隠れ、地域の隔たりを深めている。市の発展を望むには、地域住民の融和を促し絆を紡ぐ作業が必要だ。農を介して自然の豊かさを享受し、希望の田畑を「開墾」したい。そんな願いを作品に込めた。
まちづくりの会議にも同市在住アーティストとして参加するようになる。徐々に町のスローガンは"農あるまちづくり"となっていき、予定が遅れている造成工事もペースが早くなってくる。皮肉にも私の自宅とアトリエの隣が造成の最終地で、複雑な思いと目の前の壮大な森を切り崩されていくのを想像すると、怒りすら覚えくる。そして木津川アート2011が開幕され、私は鉄と檜の木を素材として、7mの大きな鍬を制作。市役所の正面に展示。去年の木津川アートに比べ、参加者数も増え数万人にも上った。

木津川市役所前に設置された巨大鍬
2010
田園風景に設置されたギロチン
Title: 「Non-title」
Size: 6.5m × 13.8m
Material: Steel
木津川アート 京都 2010

同市にて木津川アートが開催、取り壊される銀行や、歴史ある建物にて現代アートの展示イベントに参加、皮肉にもその大仏鉄道跡地は展示会場の一つに。梶ケ谷トンネルの南は開発のされない田園風景、北には以前は田園であったが休耕地になっていた場所に高さ6.5mのギロチンを設置。写真のように北側からはギロチンのアーチとトンネルがシンクロし、田園風景が見える。
風にそよぐ金色の稲穂、縦横無尽に空を舞うオオタカ、闇夜を照らす蛍の群れー。かつてトンネルの向こうにあった鹿背山の原風景です。都市計画に基づく宅地開発が急速に進むにつれ、水田は閉散とした休耕地に姿を変え、オオタカや蛍は住処を追われました。トンネルのアーチをカンバスに見立て、「田舎の名画」を鑑賞した思い出が消え去ろうとしています。経済のグローバル化や少子高齢化の進展などを背景に、国の経済成長は鈍化しています。私たちは資本主義が生み出す「豊かさ」を享受しようと、限りある資源を食いつぶし、もがき続けています。日常に埋もれた「豊かさ」の本質を見失いながら。生物多様性の保全について世界的な協議が行われる中、鹿背山のような過疎化地では開発の手が緩む気配はありません。機械で野山を切り開いて手に入れたモノからは二度とこの風景は臨めないはずなのに。断頭台のアーチをのぞき、鹿背山の未来に思いをめぐらせてください。

一年後のギロチンと消えた田園風景
PROFILE

アメリカ “Academy of art university San Francisco”にてFine arts・彫刻を専攻。帰国後、鉄骨鳶や大工をしながらアトリエ兼自宅を一人で建設。木津川アートや中之条ビエンナーレなどの芸術祭や個展などで鉄や木を使った彫刻作品を発表。叔父で鉄作家の松岡信夫の影響もあり、鉄でフルオーダーの装飾品や建築金物、家具など制作するブランド “HITTITE”を創業。住宅や商業施設のプロデュースや自社プロダクト製品の輸出なども手掛ける。近年ではフランス・パリで開催されたインテリアショー・Maison&2018,2019に単独出展を実現、日本貿易振興機構により「新輸出大国コンソーシアム」代表企業として選抜されている。傍ら、国内にて現代アート作品を作り続けている。

Majored in Fine arts and sculpture at “Academy of art university San Francisco” in the United States. After returning to Japan, he built an atelier and his home by himself while working as a steel frame and a carpenter. He presented sculptures using iron and wood at art festivals and solo exhibitions such as Kizugawa Art and Nakanojo Biennale. With the influence of his uncle and iron writer Nobuo Matsuoka, he founded “HITTITE”, a brand that produces full-order decorations, architectural hardware, furniture, etc. with iron. He also produces residential and commercial facilities and exports his own products. In recent years, he has exhibited independently at the interior show Maison & Objet 2018, 2019 held in Paris, France, and has been selected as a representative company of the “New Export Power Consortium” by the Japan External Trade Organization. Besides, he continues to make contemporary art works in the country.

  1. 1980_Born in Kyoto, Japan
  2. 2000_Studied Sculpture at the Academy of Art College San Francisco, USA
  3. 2002-2006_Worked as a builder at an architect company
  4. 2006_Founded HITTITE and started producing tailor-made iron works
  5. 2009_Started producing shops, commercial architecture
  6. 2010-2014_Held exhibitions at annul shows such as Kizugawa Art and Nakanojo Art Festival
  7. 2013_Built a new factory
  8. 2016.5_Exhibition at JA warehouse, Kyoto, Japan
  9. 2017.2_Exhibition at Ambiente2017, Frankfurt, Germany
  10. 2018.1_Exhibition at Maison&Objet2018, Paris, France
  11. 2018.1_Exhibition at “THIS IS NOT A TICKET SHOP,” Frankfurt, Germany
  12. 2018.9_Exhibition at HOMI2018, Milano, Italy
  13. 2019.1_Exhibition at Maison&Objet2019, Paris, France